この度、長らくお世話になっていた個人事業主という肩書きを返上して、合同会社という法人化への道を歩むことを決心しました。
個人事業主として長く仕事をしてきましたが、ようやく食っていけるようになったかなと思った頃から、ほんのりとですが法人化のことは常に考えてきておりました。
個人事業者の誰しもが同じ思いをされていることかと思われますが、所得への累進課税、また住民税、フルスペックの国民健康保険料が重くのしかかって、3月の確定申告期、さらに健康保険料決定の通知が届くとその度に不満と不安から軽い不眠症状態に(苦笑)。
まだまだありますよ、消費税、個人事業税、予定納税、小さいお子さん持ちは保育園料もフル料金。(保育無償化はあくまでも3歳から。)そのくせ子供手当の給付額は二人の子供合わせて月1万円、トホホ。
法人化して所得分散することで、掛かる経費と労力に見合うかどうかは別ですが、莫大に積み上がる税額がある程度ですが抑えられると言います。そんな事から、御上から年貢納めの催促状が届くたびに法人化を検討してきたというわけです。
しかしながら将来収入の保証も予測も全く何にもない個人事業主、法人化を検討する度にデメリットという悪魔がすごく囁きアピールしてきて、考えては萎んで、また検討しては萎んで。
法人化については自身の長らくのテーマでありましたので、なんでそんな重荷に雁字搦めになっているのに法人化するのを躊躇っていたのかというのは後ほど書くことになるかと思いますが、ようやくそれでもやはり重い腰を上げて、この度法人成りへの道を歩むことしました。
躊躇していた法人化へと今になってなぜ進めることにしたのか、その理由。
・保育園料の問題
・健康保険料の問題
・将来の年金不安への問題
・2023年からのインボイス制度本格運用の開始
あくまでも経費云々の目先の節税対策のための法人化というわけではありません。基本的に個人事業も法人事業も仕事にかかったものが経費になることに違いはありませんので、法人化したからといって「=経費が増える」ということは見込んでおりませんのでそこは真面目に。数万円をケチって後に追徴とかになると目も当てられません。
とはいえ、ちゃんと認められた制度を利用しての節税効果は期待したい。
ここまで書いてて、結局は金かい、お金の問題かい・・・って、今後の事業の拡大を睨んでとか、新たな事業展開とかそういった事ではないのかい!!いやいやそういった胸の内はあるけれども、それだけではやっていけない切羽詰まった切実な問題もある訳です。
保育園料の問題
保育無償化、なんて良い響きでしょうか。うちの長男はすでに年長組なので、今年(令和元年)10月から来年の3月まで無償化の対象。なんでもっと早く施行してくれなかったのでしょうか、せめて4月からでも進めてくれればよかったのに、とはいえ、多少なりともその恩恵を受けることができたので良しとしましょう。
今年生まれた長女は勿論この恩恵をきっちりと受けることが出来ます、
3歳から。
ななななんと・・・?!
この保育無償化、1・2歳の保育料の一番高い年齢のお子さん分は変わらず有料のままなんだと。
なんとかしてこの保育料を下げたい。保育料はその家その家の所得の額で算定されます。個人事業である程度の売り上げを上げると、この保育料、簡単に目一杯の金額になります。7万円/月を超えるんです。
そこで法人化の検討。法人化して個人の所得を下げることで保育料も下がるということです。
健康保険料の問題
体が一番の個人事業者にとって健康保険はなくてはならない制度です。とはいえ、なかなか支払った額に見合ったサービスを受けられているかといえば・・・。
無論すべての国民で皆保険制度をまかなっていることは理解していますし、自身、女房共に病院に通う両親もおりますので、多少なりとも高くなる保険料を支払うことに依存はないのですが、それでもやはり高い。先の保育園料よりも高いんですよ・・・。
そこで法人化の検討。法人化して個人の所得を下げることで健康保険料も下がるということです。
将来の年金不安への問題
個人事業主が加入する国民年金ですが、ご存知の通り16,410円/月支払って、65歳からだと満額で6万5千円/月支給されるんだそうですね。60歳からの支給だともっと下がりますけど。父は付加年金の400円も支払っていますので、もう少し色をつけてもらえそうです。
ある程度長生きすると悪くない支給額かとは思います(75歳くらいで損益分岐点らしいですが、今の支払い金額と受給額で計算するとだそうです)。
とはいえ、その年金額で老後を悠々自適に暮らせるわけもなく、蓄えを自身で数千万ほど用意できるのかは甚だ不明。下手に長生きなんかしちゃったら、どんどん減っていく通帳の数字見て逆に死期が早まるというもの。
それよりも何よりも、自身が先立ったのち愛する女房はどうするのか、いやいや女房は手に職があるのでそれはそれで大丈夫かとは思うのですが、それでもさきの基礎年金に加え、やはりそれにonできる厚生年金についても今から(遅まきながら)検討しておかなくてはならないのではないかと思い立った次第です。
そこで法人化の検討。法人化して厚生年金へ加入すれば、将来の年金額UPが見込めます。
ししししか〜し!!
この厚生年金いわゆる社会保険、法人化すると必然的に加入することになるのですが、これこそ長年の間法人化を躊躇していた理由でもあるのです。
何と言ってもやはり金額が大きいこと。
通常の会社員の方はこの社会保険料、会社との折半でお支払いかと思いますが、一人親方の法人だと、親方個人で半分、会社で半分というものの、会社=親方なので、結局すなわち出ていく金額は倍ということになるわけです。
さらに女房がフルタイムで働く社員になると、こちらも同じように厚生年金加入。法人化するとこの半端ない金額がのし掛かってくるということです。
諸々の税金よりも負担額大きく、話によると40万もの事業所で違法ながら未加入だそう。支払う金額を見るとそれも頷けます。
色々なホームページで、「ある程度の売り上げが見込める個人事業者は法人化する事で大きな節税効果が見込めますよ」と言う記事ないしは広告を掲げられていますが、その大半が、個人事業者が法人成りを検討する上で一番大事なこの社会保険料のことを全く無視した空論で書かれています。
確かに節税にはなると思いますが、実際には出て行くお金が増える可能性が往々にしてあるわけです。社会保険料、さらに法人化するとそれまで以上に複雑になる経理や申告に対応するための税理士さんへの依頼費用。
安易な法人化は要注意です。自分でも大丈夫なのか未だに心配です。
しかしまあ、この厚生年金いわゆる社会保険ですが、個人事業主の時のように健康保険と年金が別々という事ではなく、両方を併せてのことです。さらに国民年金分も含んでいるので、金額が大きくなるのは致し方ないことかと思われますし、将来そのうちの幾らかが厚生年金として戻ってくることをプラスとして考えることも必要かとも思われます。いわゆる逆の発想ってやつです。
また、女房は非常勤として時短勤務し、その適切な給与額として年額130万未満に収まると、それは扶養家族となりますので女房の社会保険料は不要になるはずです。そうすれば、個人事業主として支払っている国民健康保険料と国民年金代に少々(ではないけれど)足すくらいの金額で厚生年金いわゆる社会保険加入が目論めるということになります。扶養制度万歳。
ということで改めて法人化の検討。法人化すれば必然的に厚生年金への加入が義務付けられていますので支払額は大きく増えますが、その分将来の年金額UPも見込めます。
しかし、社員全てを厚生年金に入れるって、それで会社を回している経営者の方々も本当に大変ですねぇ。
23年からのインボイス制度本格運用の開始
実はインボイス制度、つい先日まで恥ずかしながら知りませんでした。聞いたこともありませんでした。皆さんはご存知だったでしょうか、同じく個人事業主の友人に法人化を検討してるんだよ〜っての話をした時に、23年からこういった制度が始まるし、これからさき個人事業を今のままで続けていくのは難しくなるかもしれないねって話になりました。消費税増税とそれに纏わる軽減税率の導入に伴う新たな制度ということです。
要は消費税の免税業者だと仕事先から相手にしてもらえなくなる恐れが出てくるというお話です。小売業者さんにとっては軽減税率による品目ごとの税率の仕分けなど、また別の意味でも大変な制度だそうです。
個人事業主にとって消費税の課税業者になるかならないかは結構大きな問題であるかと思われます。一千万円以上の売り上げによって消費税課税業者になるわけですが、それが1万円でも満たなければ免税業者として、取引相手からいただいていた消費税分を懐に入れることができるということですので、年にして単純に数十万円程度は得をするということです。
しかしながら23年の10月からは、消費税課税業者としての事業者登録番号を御上から授かって、その番号を請求書に記載しないと、相手先の消費税納税額から、仕入れ・経費にかかる消費税を差し引くことが出来なくなるという、何のことかわかりにくい制度なんですが、要は取引相手にとっては不利益になるということらしいです。
すなわち、相手先から取引相手として扱ってもらうためには消費税を納めている課税業者として登録をしないとならないということです。(実際には23年から3年毎の2段階を経て6年後からの完全実施だそうです)
もちろん個人事業主でも課税業者はたくさんおられますし、父も長期安定して課税業者です。また、売り上げが1千万円に満たなくても課税業者として申請すれば登録番号も付与されますので、今後は基本的には事業者の大半は課税業者として消費税を支払うことになるのだと思われます。
零細事業者にとっては消費税2%アップどころの話では無く10%の大増税ってことになりますねぇ(実質)。
消費税増税を正当化するための軽減税率導入というよりも、実は消費税免税業者を炙り出し、締め出すための制度なんじゃないかとも思えますね。
法人成りは今のタイミングがベストタイミングか
消費税課税業者である個人事業主から、法人化に移行すると、法人化後最大2期(約2年)を消費税免税業者として振舞うことができます。2年の間は(幾らかの制約はありますが)取引先から預かった消費税を合法的に懐に入れて良い?(そういう解釈は良くないでしょう・・・)ですよみたいなことです。
これが例えば22年始めに法人化したとすると、22年、23年が消費税免税となるのですが、23年のインボイス制度運用開始と被ってしまいます。その間は事業者登録番号の付与がないということになるわけで、取引に支障をきたす恐れが出てくるかもしれません。
そいったことから、法人化を検討されている課税対象の個人事業主さんは、2期の免税を有意義に受けることを考えると、早めの法人化検討をされるのも良いのかもしれませんね。
そういったことで法人化の検討。法人化して目指せ2期の免税業者。これが最後のチャンスか。
そんなこんなで法人化する事に決めた父、次は合同会社設立のために用意した物から、電子定款作成について書いてみます。
色々と間違ったこと書いてるかもしれませんが、個人の駄文ですのでお見逃しください。